2024年1月23日
下記のとおり、第27回環境応用化学セミナーを開催いたします。今回は、第6回グリーン・サスティナビリティセミナー2023年度第2回生命機能セミナーとの併催とします。みなさまのご参加をお待ちしています。
- 日時:2024年1月30日(火) 15:10-17:00
- 場所:東館1階E105教室
- 形式:対面とオンラインのハイブリッド
はじめに(15:10-15:20)
- 水澤 直樹 先生(法政大学生命科学部 生命機能学科・教授/法政大学マイクロ・ナノテクノロジー研究センター・兼担研究員)
講演1(15:20-16:10)
光合成における脂質の機能
- 講師:和田 元 先生(東京大学大学院総合文化研究科 広域科学専攻・教授)
- 要旨:生物の生命活動は、植物やシアノバクテリアなどの光合成生物が営む光合成によって支えられ、初期過程である光エネルギーの化学エネルギーへの変換は、チラコイド膜と呼ばれる生体膜で行われている。この膜は、おもに脂質、タンパク質、色素より構成されており、脂質は膜の基本構造である脂質二重層を形成するだけでなく、光合成装置(色素やタンパク質などからなる超分子複合体)の中にも組み込まれている。我々は、光合成における脂質の機能について、シロイヌナズナやシアノバクテリアの脂質合成変異体を用いて解析しており、脂質がチラコイド膜の形 成、光合成装置の構築、安定化、活性を維持するための修復などに関わっていることを明らかにしてきた。本講演では、そのような脂質の持つ多様な機能について紹介する。
講演2(16:10-16:50)
脂質修飾による光合成装置の安定化
- 講師:河合(久保田) 寿子 先生(山形大学理学部理学科・准教授)
- 要旨:光合成酸素発生反応は、光化学系II(PSII)と呼ばれる光合成装置に結合する酸素発生中心のMnクラスターにより触媒される。Mnクラスターは通常、PsbOという膜表在性タンパク質により保護されているが、高塩ストレスや熱ストレス環境下ではPsbOが容易に解離するためPSIIが失活し、増殖が阻害される。近年、我々はシアノバクテリアAnabaenaのPsbOがストレス環境下でもPSIIに強固に結合できることを見出した。このユニークな特徴を発揮する構造・分子基盤を明らかにするために、クライオ電子顕微鏡法による構造解析と生化学的な解析を行った。本講演では、これらの解析を通して明らかとなった脂質修飾による光合成装置の安定化について紹介する。
主催:法政大学マイクロ・ナノテクノロジー研究センター
共催・後援:法政大学生命科学部 環境応用化学科
法政大学生命科学部 生命機能学科
世話人:法政大学 生命科学部 水澤 直樹